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連載コラム
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首長・設計者インタビュー奥多摩森林セラピーロード 香りの道「登計トレイル」

緑のなかで心いくまでリラックスできる、癒しの空間が生まれた

2010年6月に完成した、奥多摩森林セラピーロード 香りの道「登計トレイル」。都心から電車で2時間ほどと地理的には訪れやすい立地ながら、東京都内とは思えない緑豊かな環境に恵まれた奥多摩町に、日本初の森林セラピー専用ロードが設置されました。ロードに一歩足を踏み入れるとあたり一面に漂い始める、針葉樹特有のすがすがしい香りを深呼吸で味わいつつ、ロード沿いの所々に配されたデッキやチェアーで過ごす時間は、現代人にとってかけがえのない安らぎのひと時です。

今回は、「登計トレイル」のランドスケープデザインを手掛けた千葉大学の三谷さんとオンサイト計画設計事務所の方々にお話をうかがいました。山あいの急斜面という厳しい条件下、いかに地形や植生を読み解きながら、憩いの空間を作り出したのか、語っていただきます。

「森林セラピー」とは?

左から順に、鈴木裕治さん(統括責任者)、
三谷徹さん(千葉大学大学院園芸学研究科・園芸学部教授)、
高橋宏宗さん(監理技術者)

三谷さん:私たちはこれまで、森林浴やトレッキングに親しむことで、森林がもつ「癒し」の効果を享受してきました。しかし、その効果は多分に感覚的なものとして語られてきたように思います。そうした森林浴の効果を科学的に解析して、心と身体の健康により積極的に活かそうというのが、森林セラピーです。これまでの森林浴やトレッキングなどと異なるのは、心と身体の健康維持を目的とした心療内科的プログラムとして確立されている点です。実際には、セラピーの専門家が参加者と共に森を訪れ、現地でさまざまなセラピーを行います。ヨーロッパ、特にドイツとその周辺諸国で研究が進んでいます。

日本では、森林風致の分野で研究が進められ、生理・心理・物理的な実証実験を通して、癒し効果が検証された森を「森林セラピー基地」「森林セラピーロード」として認定する制度がスタートしています。

興味深いのは、セラピーのプログラムについての研究は、ドイツなどヨーロッパ諸国で進んでいるのですが、「どういう施術をしたらどんな効果があるか」といった実証研究は日本が一番進んでいるそうです。彼らにしたら、森林療法は園芸療法と同じく「効果があるのは当たり前」で、いまさら実証すべきことでもない。そこに日本の研究者が、細密な生理実験などを行って得た研究成果をヨーロッパで発表すると「エビデンス(証拠)があって素晴らしい」と、高い評価を受けるそうです。

登計トレイルのエントランスから、トレイルの中心施設「下のステーション」へと向かうアプローチ
2010年6月5日に開催された見学会当日、現地で説明に当たる三谷さん(向かって右)
豊かな森林に恵まれた奥多摩町の景色を、トレイル内の「眺望広場」から望んで

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