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家の知/討議 第7タームvol.31 "作り手"と"住まい手"の再考(1/3) 小嶋一浩×加茂紀和子×真壁智治

  • ゲスト 小嶋一浩(こじま・かずひろ) 建築家/横浜国立大学大学院Y-GSA教授/C+A(シーラカンスアンドアソシエイツ)共同主宰

    ゲスト

    小嶋一浩(こじま・かずひろ)

    建築家/横浜国立大学大学院Y-GSA教授/C+A(シーラカンスアンドアソシエイツ)共同主宰

  • ゲスト 加茂紀和子(かも・きわこ) 建築家/ ICS カレッジオブアーツ講師/みかんぐみ

    ゲスト

    加茂紀和子(かも・きわこ)

    建築家/ ICS カレッジオブアーツ講師/みかんぐみ

  • 真壁智治(まかべ・ともはる) プロジェクトプランナー/M.T.Visions

    モデレーター

    真壁智治(まかべ・ともはる)

    プロジェクトプランナー/M.T.Visions

真壁:「イエスト:家の知/討議」第7タームでは、小嶋一浩さん、加茂紀和子さんをお招きして、住宅を中心とした建築の作り手と住まい手について再考できればと考えました。
近代建築のころは作り手が主導する時代でした。そこでは、普遍化した建築を目指し、住まい手は自立した個人であると捉えられてきた。ところが、客観化されたラショナルに把握される自立した個人という視点では、今の時代を把握することができません。そう決定づけた出来事は、東日本大震災だった。
多木浩二さんは著書「生きられた家」(1976年)の中で、建築家が作る作品と一般の住宅との亀裂矛盾ということについて書かれていました。その中で特に、作り手と住まい手が矛盾するという視点を取り上げていたのですが、その矛盾をもうひとつ乗り越えるような建築家の試みが、特に2000年以降現れているのではないかと僕は思っています。
それが「寄り添う作り手と住まい手」と表現されるわけですね。そのあたりを今日、お二方の作品を出発点に少し議論ができればと思います。それでは、まず小嶋さんからお願いします。

小嶋:今日はいくつかの作品を持ってきました。まず最初は、小田原に建つ「柿畑のサンクン・ハウス」という住宅です。住宅地なのですが、隣には生産緑地の柿畑が広がっています。その風景は当分変わることがないということだったので、それを取り込むかたちで建てました。右に写っているのが柿の木ですね。

小嶋:このように一階の室内の床が70センチほど、地面のレベルから下がったつくりになっています。もともとの敷地に70センチほど盛り土がしてあったので、このようにつくっても水の影響はありません。
クライアントはサーフィンがご趣味のご夫婦です。旦那さんの両親が住む家がご近所にあって、いつか家を建てるためにこの土地を用意していらしたようです。

小嶋:中を見るとこんな感じでして、四面ガラス張りです。プランはこのようにぐるっと一周できる、ロの字型のワンルームです。白い壁に見える部分が建具になっています。完全に閉めてしまうと右のような感じになります。クライアントの唯一の希望は、冷蔵庫やテレビをすべて見えなくできるということ。子育てをしていると物が溢れ出てくるのを奥さんは防ぎたかった。

小嶋:上の図は、共に同じ平面図です。左が白い建具をすべて閉めたときのもの。右は開けたときのものです。開けると9つのスペースに分かれます。真ん中の部分はエントリーと呼んでいるのですが、ここを通り抜けて向こう側のスペースへ移動できる。昼は左側のように使っていても、夜、就寝時に右側のように使用する時は、寝ているときに人のスペースを通らないでお風呂やトイレに行くことができる。

小嶋:この写真はエントリーの部分になります。2階部分から光も落ちてくるし、上を一箇所開けるだけで、空気が動くようになっています。だから、ガラスで囲まれていても、わりと快適なんです。この住宅は、確認申請でいうと在来木造の申請です。構造家の佐藤淳さんにいろいろとアドバイスをいただきながら、壁量計算だけでつくりました。


第7ターム 家の知/討議 動画配信

テーマ:「"作り手"と"住まい手"の再考」 at Coelacanth and Associates tokyo
小嶋一浩×加茂紀和子×真壁智治

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