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連載コラム
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家の知/討議 第4タームvol.22 集まって住むことの新しいかたち(1/3) 西田司×中川エリカ×篠原聡子×真壁智治

  • 西田司(にしだ・おさむ)

    西田司(にしだ・おさむ)

    1976年、神奈川生まれ。横浜国立大学卒業後、建築設計スピードスタジオ設立、共同主宰。 2002-05年、東京都立大学大学院助手。2004年、オンデザインパートナーズ代表。 2005-07年、首都大学東京研究員。2007-09年横浜国立大学大学院助手。

  • 中川エリカ(なかがわ・えりか)

    中川エリカ(なかがわ・えりか)

    1983年 東京生まれ。2005年 横浜国立大学卒業。2007年、東京芸術大学大学院修了。同年オンデザイン。

  • 篠原聡子(しのはら・さとこ)日本女子大学准教授/空間研究所

    篠原聡子(しのはら・さとこ)

    日本女子大学准教授/空間研究所

  • 真壁智治(まかべ・ともはる) プロジェクトプランナー/M.T.Visions

    真壁智治(まかべ・ともはる)

    プロジェクトプランナー/M.T.Visions

一階に大きな広場ができた理由

真壁:今回は、イエスト「家の知/討議」のライブ版ということで、篠原聡子さんとともに、西田司さん、中川エリカさんが設計された「ヨコハマアパートメント」を実際に訪ね、このアパートの中庭をお借りして、このアパートをきっかけに"今"集まって住むことの意味と可能性について討議させていただきたいと思います。また、今回の収録はインターネットでの生中継を行わせていただきます。これまで、「家」にまつわるざまざまな討議を重ねてきましたが、特に難波和彦さん、篠原聡子さんとお話させていただいた際に、これからの「長屋形式」の可能性についての話が大いに盛り上がりました。そういう中で、一度「ヨコハマアパートメント」というものは、今日的な集まって住むということを考える際に、是非、実際に訪ねなければいけないと思っていた次第です。まずは、このアパートの成り立ちから聞かせていただけますでしょうか。

西田:このアパートは、横浜市西区の西戸部という木造密集エリアに建つ集合住宅で、4人の住人が上の空間に住んでいます。外から見ても分かるとおり、この1階部分はピロティのような状態でほとんど外。この半外部広場のような1階を4人の住人と、ここを使いたいと外からやってくる人たちとでシェアしています。

左:「ヨコハマアパートメント」外観。1階が住人たちで共有する広場と呼ばれる共有スペース、階段を上がって2階に4つの住居がある。右:「ヨコハマアパートメント」1階の広場。外部とは仕切られていない半屋外。キッチンやダイニング、アトリエやイベントスペースとして、住人たちが自由に使うことができる。(写真提供=オンデザイン/©鳥村鋼一) 左:「ヨコハマアパートメント」外観。1階が住人たちで共有する広場と呼ばれる共有スペース、階段を上がって2階に4つの住居がある。
右:「ヨコハマアパートメント」1階の広場。外部とは仕切られていない半屋外。
キッチンやダイニング、アトリエやイベントスペースとして、住人たちが自由に使うことができる。
(写真提供=オンデザイン/©鳥村鋼一)

真壁:この集合住宅を設計することになった経緯は、どのようなものでしたか。

西田:きっかけは、このエリアに住んでいるオーナーが、ただの集合住宅ではなく、自分で仕事場や作業場、展示をするスペースなどを住みながら持ち得る、若いアーティストやクリエーターたちが使い倒せる場所を用意したいという話をいただきました。そういったものが街のなかにできることで、この数十年間ほとんど変化のない街にとっても少し新しい風が吹いて、街に暮らす人々にも何らかの拠点となりうるものはできないか。地域のことも考慮しながら、若い人たちにそういう場所をつくってもらいたいという応援の志ではじまりました。

中川:オンデザインの中川と申します。今、オンデザインで働きはじめて4年目です。私は、実際に設計や現場監理をしていましたので、その点からお話できればと思います。
 最初に、敷地の調査に来たときは、この場所はすごい谷地にあるので、異常に暗いと感じました。一方で、たまたまお食事時だったこともあって、周りの方が料理されている料理が何だか分かるぐらい、むちゃくちゃにおいが漂ってくる。それぐらい周りの家がすごく近しい関係であって、それがすごく許容されていて、だから、街の、ちょっと乱雑だけど楽しいという雰囲気が出ている場所だなということが第一印象としてありました。

西田司

西田: 敷地を見てみると、一人ひとりに対して、大きなスペースを分け与えることはなかなかできない。それであれば、この密集している住宅地域の1階部分に外からも入れて、上に住む人たちも自由に使える共有スペースをつくるとどうだろうかと考えはじめました。そこは音が出たり、臭いが漂ったり、もしくはものすごく大きなものをつくったりすることも許容できるタフな場所とする。一方で、2階につくる4つの住戸はきちんと暖が取れて、自分で籠もることができる非常にコンパクトなスペースとする。通常であれば、家の一部にスタジオがあったり、作品を飾ったりして、自分の場所に多くの人を呼ぶ場所をつくろうとするけれども、そういったものを全て外に出して、みんなで共有することで可能になるような、そういう集合住宅のあり方をオーナーと一緒に考えたのです。
 予算も限られていたことや、周辺が木造密集エリアというともあって、木造2階建ての賃貸住宅としました。だから、基本的な機能としては、周辺にある木造賃貸アパートと同じなわけです。けれども、その佇まいのあり方を少し変えることで、同じ木造賃貸アパートでも街になじみながらも新しいことができるのではないかと。

4つの住居が固まる四角いボリュームを三角柱の4つのボリュームが支えている。住人たちは、それぞれの住戸へ伸びる階段をぐるっとまわるように上がり、自分の家へたどり着く。(図面提供=オンデザイン)

4つの住居が固まる四角いボリュームを三角柱の4つのボリュームが支えている。住人たちは、それぞれの住戸へ伸びる階段をぐるっとまわるように上がり、自分の家へたどり着く。(図面提供=オンデザイン)

第4ターム 家の知/討議 動画配信

テーマ:「2010年共同的住まいのあり方」 in ヨコハマアパートメント
篠原聡子×西田司×真壁智治×中川エリカ(特別ゲスト)

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