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連載コラム
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家の知/討議 第1タームvol.10 家をつくる“境界“の多様性/総括 難波和彦×篠原聡子×真壁智治

  • 難波和彦(なんば・かずひこ)東京大学教授/難波和彦+界工作舎

    難波和彦(なんば・かずひこ)

    東京大学教授/難波和彦+界工作舎

  • 篠原聡子(しのはら・さとこ)日本女子大学准教授/空間研究所

    篠原聡子(しのはら・さとこ)

    日本女子大学准教授/空間研究所

  • 真壁智治(まかべ・ともはる) プロジェクトプランナー/M.T.Visions

    真壁智治(まかべ・ともはる)

    プロジェクトプランナー/M.T.Visions

"境界"を読み設計する

真壁:前回は難波さんの住宅の実作を見ながらお話を伺いましたが、後半は篠原さんの実作を見せていただきながら、議論を深めたいと思います。

左:総武線沿線沿いに建つ「FUNABASHI-KAIJIN HOUSE」外観。敷地内に5つの住戸が建つ。
右:配置図のダイアグラム。5つの住戸の中心にオープンスペースを設けている。

篠原:まず今回は3つの住宅を紹介させていただければと思います。まず最初に紹介させていただくのが、千葉県船橋市、総武線沿線に建つ戸建住宅です。同じ敷地の中に他の建築家によるものも含めて戸建てが5戸建っていて、その中のふたつの細長い敷地に建つ住宅を担当しました。最初は普通の建売住宅で、一般的な区画割りだったのですが、区画自体も提案させていただいて、複数の住戸の中心にオープンスペースができるようにしています。

左:敷地に接する道路から敷地全体を見る。オープンスペースが敷地の内側へ入り込む。右側のふたつが篠原氏の設計によるもの。
右:1階平面図兼配置図および2階平面図。

左:1階居室。天井面にスリット窓が設けられている。
右:玄関ホール階段室にも同様のスリットが設けられていて、1階と2階の構造が空間としても現れる。

篠原:この写真の右側のグレーのものになります。

真壁:プランはどのようになっているのですか?

篠原:プランはシンプルで、ワンルームの部屋が各階にあるという感じになっています。1階の玄関を入ると、まずその左手に寝室があります。階段を上がると2階がLDKになっていて、その先にも階段があって、1階とつながっています。

真壁:何故階段がふたつあるのですか?

篠原:階段をもうひとつ設置することで、1階の寝室へのアクセスがふたつになるので、将来的に居室を完全にふたつに分けて使用することができる。そういう対応が出来るプランになっています。居室をふたつに割ると1階の玄関脇からアクセスするのがひとつ、2階から階段を下りてアクセスするのがひとつとなります。最低限3LDKとしたいという施主からの要望も大きく影響しています。また、坪50万円という制約上、必要最低限以外の家具や間仕切りなどをつくることができませんでした。それより構造にお金をかけたかったということです。

真壁:1階部分にデザインされているスリットが素晴らしいですね。

篠原:構造的には1階がコンクリートで、上階が集成材のソリットティンバーでできています。ソリットティンバーの特徴としては2,400mm×1,800mmというパネルをつくり、それを壁や床全てに使用し、内外装一体というものにトライしています。このスリットは、1階のコンクリートと2階の木の箱をつないでいるジョイントのすきまです。

2階のLDKは壁天井共に集成材の同素材でつくられている。

真壁:真壁: 鉄骨がコーナーに見えますね。

篠原:これは集成材を使ってできるかなと思っていたのですが、ものすごく重くて、建て方に5日もかかってしまいました。

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