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連載コラム
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ディテールの冒険vol.24 藤井厚二の開口部〈後編〉

文・イラスト:堀 啓二(共立女子大学家政学部 建築・デザイン学科教授)

風景を切り取る横連窓

聴竹居は前回述べたように南に眺望の開けた尾根筋にたっています。南の眺望を借景とした豊かな庭に対して、縁側が設けられています。

聴竹居縁側横連窓

この縁側は横連窓と格子付きの地窓によって光あふれる開放的な場所です。通常の掃き出し窓で外部と連続する縁側とは趣が異なり、外に出ることはできません。むしろ環境を調節するサンルームのような部屋です。夏は居室との間の引戸を閉じて暑い空気は天井排気口から屋根裏へ逃がし暑さを調節し、冬は引戸を開け日差しを直接入れて暖められた空気を取り込んでいます。また、格子付きの地窓は農家の獅子窓のように防犯性能があり、夜間開け放つことができセキュリティを確保しつつ自然通風が可能です。横連窓は3方に開放されています。コーナーには柱がなく透明ガラスの突き合わせで出来ていて開放感を強調しています。上下が磨りガラスとなっていて中央のみが透明ガラスです。その構成が透明ガラスの部分を強調する額縁効果を生んでいます。おかげで四季折々に変化する風景を美しい絵のように楽しむことができます。自然採光、自然通風などの環境を生かすのが開口部の重要な役目ですが、外の風景や環境を美しく見せるのも開口部の重要な役目です。
この様な聴竹居の空気の動きを自然に生み出す開口部と明るさを十分取り込みつつ風景を堪能できる優れた開口部は、現在でも十分役立つはずです。

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