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連載コラム
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ディテールの冒険vol.23 藤井厚二の開口部〈前編〉

文・イラスト:堀 啓二(共立女子大学家政学部 建築・デザイン学科教授)

環境と共にある住まい

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「自然を感じて生活したい」というのは、誰もが考えることではないでしょうか。
日本の住まいは「夏を旨とすべし」といわれ、じめじめした不快な高温多湿の夏をいかに快適に過ごすかを中心につくられてきました。民家に代表される日本の住まいは、自然通風が可能な柱梁と建具(引戸)によるフレキシブルで開放的な空間と、深い庇が夏は厳しい日差しを避け陰影による清涼感をもたらし、冬は暖かい日差しを部屋の奥まで導くというように、自然をうまくコントロールし、居心地の良い場をつくり出してきました。

1950年代のエネルギー大量供給以降建築は、機械設備に頼り、人工環境による快適性を追求し、外部環境に影響されない閉じた箱となっていきました。特に都市においては、狭小敷地により軒を接して住まいが建つという環境と、プライバシーの確保が閉じる方向に拍車をかけました。自然はゲリラ豪雨、台風や地震の様にある時は牙を剥き、ある時はあたたかな日差し、さわやかな風、豊かな緑と水というように豊かな恵みをもたらします。この畏れと自然とともにある快適さを忘れ自然を押さえ込もうとしたのが近代化です。この建築の近代化が環境負荷を増大し、環境汚染、地球温暖化、物質循環の不調を引き起こしました。
この様な状況の中現在は、サスティナブルな社会を目指して、環境に配慮し、環境負荷が少ない自然を利用した快適な住まいをつくることが当たり前の時代です。それをいち早く1920年代に、日本の伝統的な住まいが持つ気候風土に適応した住宅のあり方を科学的な目で捉え直し、環境工学を基礎とした設計方法論により自邸の実験住宅で実践したのが、藤井厚二です。
藤井厚二は、自然を生かす建築計画とデザイン、自然素材の利用、洋と和の生活様式の統合により、環境共生型の快適な住宅の実現を目指して、自ら居住し実証しつつ改善を加え5回の実験住宅をつくりました。第1回住宅は神戸市葺合区に、第2回住宅は大山崎町街道沿いの町家が連なる町並に、そして第3回住宅から第5回住宅は大山崎町の山側12,000坪の豊かな緑の中に建てられました。

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堀 啓二(ほり・けいじ)共立女子大学家政学部 建築・デザイン学科教授/建築家
共立女子大学家政学部 建築・デザイン学科教授 / 建築家堀 啓二(ほり・けいじ)

1982 年東京芸術大学美術学部美術研究科建築専攻修了。1983-85 年有限会社デザインリーグ勤務。1989 年株式会社 山本・堀アーキテクツ設立。2000-02 年 明治大学工学部建築 科非常勤講師。2000-04 年 工学院大学建築学科非常勤講師。2004 年 共立女子大学家政学部生活美術学科建築専攻助教授。 2010 年 共立女子大学家政学部建築・デザイン学科教授

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