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連載コラム
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ディテールの冒険vol.10 ル・コルビュジェの開口部II〈後編〉

光と風をコントロールし豊かな場を生み出す格子スクリーン

開口部には様々な機能が必要です。風や雨から人を守る。光と風をコントロールし快適な室内環境をつくる。内外を繋げる。プライバシーを守る等々。これらの機能を兼ね備える巧みな"しかけ"があります。そのひとつが格子です。格子は、見込みのある線材を、間隔を空けて並べるという、単純な構成でできている装置です。この単純な装置が、内外を隔てつつ連続させる有効な"しかけ"となります。また、光をコントロールし光を捉え、影を生み出すことで、時の移ろいを感じることができる豊かでドラマチックな空間をつくり出します。
日本の民家特に町家に多用される縦格子は、軒を連ねて立つ高密度な住まいにとって、重要な役目を果たしてきました。町家は、表通りに面して店がくる店舗併用住宅です。過密な都市の中でも人は自然を制御しつつ、自然を感じて暮らしたいものです。また、店舗併用住宅のため、プライバシーを守りながら外に開くという、相反する機能を満足する必要があります。格子は見る角度によって透過度が変わります。正面からは開放性があり、内部の動きは気配として感じられますが、横からは壁面として見え閉鎖性を持ちます。人の目は輝度(明るさ)の違いにより見え方が変わります。格子を通して外部から内部を見ると内部は暗く、内部から外部を見ると格子を通して外部が明るく見えます。
この様に日本の縦格子は、プライバシーを守りつつ外に開き、光と風を採り入れることが可能で優れた"しかけ"です。また、連続して建ち並ぶ格子の店構えは、ヒューマンで美しい町並みをつくり出します。

堀 啓二(ほり・けいじ)共立女子大学家政学部 建築・デザイン学科教授/建築家
共立女子大学家政学部 建築・デザイン学科教授 / 建築家堀 啓二(ほり・けいじ)

1982 年東京芸術大学美術学部美術研究科建築専攻修了。1983-85 年有限会社デザインリーグ勤務。1989 年株式会社 山本・堀アーキテクツ設立。2000-02 年 明治大学工学部建築 科非常勤講師。2000-04 年 工学院大学建築学科非常勤講師。2004 年 共立女子大学家政学部生活美術学科建築専攻助教授。 2010 年 共立女子大学家政学部建築・デザイン学科教授

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