BACK
連載コラム
ボタンを押して、BOOKMARKに追加できます。
BOOKMARKする

ディテールの冒険vol.8 ルイス・カーンの開口部 〈後編〉

居場所を生み出す開口部

窓には,様々な役割があります。その役割についてルイス・カーンは、次の様に述べています。
「近代建築の窓、すなわち大きい板ガラスとサッシュによって作られる開口部によって、私達の窓に対する感覚は鈍化している。窓とは何か。その働きは何か。窓は様々な働きをしている。光をいれまたふさぎ、風をいれまたふさぎ、視線を導きまたさえぎり、そしてその開き閉じる方向と程度もまた様々である。一度それらを分解し、それぞれに最も適したかたちを与えてみよ。そして次にそれらをひとつに組み合わせてみよ。」
この言葉にある様に、大半の建物がガラスとアルミ枠による窓により構成され、見慣れた風景としての街並が出来上がっています。そのため我々は、建築につく窓はどれも同じで単調なものと考えがちです。ここでは、採光、通風、視線の3つの役割が述べられていますが、もうひとつ重要な役割があると思います。それは、窓辺=居場所ということです。窓辺は光に満ちあふれ、外部と連続した風景を楽しむ場です。外を眺めたり、本を読んだり、食事をしたりなど、そのために机や椅子が設けられます。19世紀のヴィオレ・ル・デュクが記録した「ウインドシート」や日本の伝統的な書院窓がこれにあたり、空間としてまとまった特別な居場所をつくり出しています。
ルイス・カーンは、通常窓という言葉でひとくくりにされる窓が持つ様々な役割、意味そしてそれを表す形を、徹底的に分析し研究しました。窓が持つ様々な働きを、各働き毎に基本要素として分解整理し、そしてそれらを再構築し、居心地のよい居場所をつくっています。それでは、具体的にルイス・カーンが窓によりつくった居場所を見ていくことにしましょう。

堀 啓二(ほり・けいじ)共立女子大学家政学部 建築・デザイン学科教授/建築家
共立女子大学家政学部 建築・デザイン学科教授 / 建築家堀 啓二(ほり・けいじ)

1982 年東京芸術大学美術学部美術研究科建築専攻修了。1983-85 年有限会社デザインリーグ勤務。1989 年株式会社 山本・堀アーキテクツ設立。2000-02 年 明治大学工学部建築 科非常勤講師。2000-04 年 工学院大学建築学科非常勤講師。2004 年 共立女子大学家政学部生活美術学科建築専攻助教授。 2010 年 共立女子大学家政学部建築・デザイン学科教授

こちらのおすすめ記事もいかがですか?