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連載コラム
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ディテールの冒険vol.6 ル・コルビジェの開口部 近代建築の5原則〈後編〉

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「自然との契りを求めていた」これは、ル・コルビジェが晩年述べていた言葉です。ル・コルビジェは、インターナショナルスタイルの中にも、その土地の自然、風土、そしてその時代のニーズに適合するように、独自の建築理論を発展させてきました。特にインドの設計の時には次のように語っていたそうです。
「建築家は、相反する要求条件でも、いずれをも切り捨てることなしにうまく処理しなければなりません。快適さとは涼しさでしょう。すなわち空気の流れや日陰です。しかし陽光を楽しみたいと思う季節には、やはり適当な時刻に太陽がさしこむべきなのです。また、やぶ蚊が余りに多いので何らかの策が講じられぬ限り窓を開け放つ事も許されません。」
「与えられた条件がいかなるものであるかは、絶えず情け容赦なく照り続ける
太陽と、それに伴う温度、湿度と乾燥の程度―しかも月によって異なります―によって判断できますが、これらは同時に制御しようとすれば相矛盾する要因なのです。このような条件下で現代の建築家たらんとするのは容易なことではありません。」

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インドの亜熱帯性の厳しい環境の中、いかに快適に暮らすことができる場をつくれるかを、深く考えていたかが窺える言葉です。ここでは、快適な住まいを実現しているサラバイ邸を中心に、詳しく見ていきたいと思います。
サラバイ邸は、インドの西、アーメダバードにあります。外観のスケッチ(前回参照)からはその姿は見えませんが、カタロニア風の煉瓦ヴォールト屋根を架け渡した平行な耐力壁構造を採用しています。これにより、風通しがよい南北に抜けた、暖かみのある豊かな空間となっています。屋上は、5原則の一つである第2の庭としての芝の屋上庭園で、熱負荷を低減しています。厳しい東西の日射を防ぐ45度振れた配置。日本の民家の様に、日射をコントロールする深い軒を持つ、内外と連続した半屋外空間となるベランダ。この様に、日陰と自然通風を可能な限り実現しようという工夫が随所に見られます。

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堀 啓二(ほり・けいじ)共立女子大学家政学部 建築・デザイン学科教授/建築家
共立女子大学家政学部 建築・デザイン学科教授 / 建築家堀 啓二(ほり・けいじ)

1982 年東京芸術大学美術学部美術研究科建築専攻修了。1983-85 年有限会社デザインリーグ勤務。1989 年株式会社 山本・堀アーキテクツ設立。2000-02 年 明治大学工学部建築 科非常勤講師。2000-04 年 工学院大学建築学科非常勤講師。2004 年 共立女子大学家政学部生活美術学科建築専攻助教授。 2010 年 共立女子大学家政学部建築・デザイン学科教授

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