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設計のヒント
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LIXILのディテールvol.8 機能から美しさへ ─ 住まいの付加価値の追求と建築家の役割

  • GEN INOUE 井上玄(いのうえ・げん) 1979年 横浜生まれ。2001年 東海大学工学部建築学科卒業。2001年 吉田研介建築設計室 勤務。2010年 GEN INOUE 設立。

    GEN INOUE

    井上玄(いのうえ・げん)

    1979年 横浜生まれ。2001年 東海大学工学部建築学科卒業。2001年 吉田研介建築設計室 勤務。2010年 GEN INOUE 設立。

  • トステム 石上 桂吾(いしがみ・けいご) トステム株式会社/商品本部 住宅サッシ統轄部 商品企画室

    トステム

    石上 桂吾(いしがみ・けいご)

    トステム株式会社/商品本部 住宅サッシ統轄部 商品企画室

  • トステム 堤 隆士(つつみ・たかし) トステム株式会社/商品本部 住宅サッシ統轄部 商品企画室

    トステム

    堤 隆士(つつみ・たかし)

    トステム株式会社/商品本部 住宅サッシ統轄部 商品企画室

井上 玄(いのうえ げん)(GEN INOUE)
石上 桂吾・堤 隆士(トステム)
司会: 真壁智治 (M.T.Visions)

今回の井上氏の疑問・要望

[Sash-022]『サーモス』の新しさはどこにあるのでしょうか?

石上:サーモスについては、皆様から「一目で、今までの窓とはまったく違うことが分かります。」と高い評価をいただいていますが、この革新性を実現するための技術についてご説明しますと、現在の標準的な窓の耐風圧性は160等級の性能をクリアーしていますが、サッシフレームとガラスはそれぞれ単独でこの性能をクリアーし、グレイジングチャンネルにより両者を窓としてつなぐ設計です。これに対し、サーモスではフレームをスリム化しガラス面積を最大化することで、高い性能を実現できるのではと取り組んできました。これを実現したのが『スマートシナジーシステム』です。
これは複層ガラスとグレイジングチャンネルを嵌合した『専用グレチャン付き複層ガラス』とそれを受ける専用フレームを用いた業界初の新技術で、スリムなフレームとワンサイズ大きな複層ガラスを窓として強固に一体化することで、強度・性能・品質を保証することができるため、従来の窓とはまったく異なるフォルムが可能となります。『サーモスS』では、①ガラス中央部の面積を広くすることで断熱性の向上を、②フレームをスリムにすることでデザインの向上と高い眺望性を実現した新技術です。

また、スリムになったフレーム部(熱橋となる部位)をできる限り枠の中に隠すフレームイン構造を採用し、断熱性とデザイン性の向上を図っています。
この開発では、皆が今までにない窓を創ろうという気持ちで取り組んできました。2008年の春頃からこのプロジェクトが立ち上がったのですが、「フレームとガラスの一体化」というところで、色んな技術を試しつつ1年くらい…

堤:技術的な部分だけで、1年くらいかけていますね。

石上:一度は本当に挫折しかけたのですが、なんとか商品化まで辿り着くことができました。外のフレームもアルミだけで無理矢理強度を出すのではなくて、先ほど申し上げたようにガラスとの一体化により強度を出しています。框の太さも窓種によるばらつきが少なく、ある程度統一ができていると思います。それと、室内側に付く網戸やハンドルの裏側(ヌキ部)が、外から見たときにとても格好悪いとよく言われていましたので、なるべく枠の中にしまいこんで見えないようにしています。
今どのメーカーの窓も同じような見た目の商品になってしまって、ユーザーの方には違いが分からなくなっています。この状況を変えて行きたいという思いもあって、頑張りました。

井上:すごいです。吉田設計室では私がサッシのメーカーを決めていましたが、ここまで差別化できる商品がなかったのでメーカーを指定していませんでした。その結果ほとんどの場合、工務店のつきあいで決まっていたようです。

石上:図面に同等品と書いていただいても、同等品がない状態ですからね。

井上:すごく良い商品だと思います。みんな知らないので建築家仲間には私が宣伝します(笑)。

堤:こちらが先ほど「現場での制約があります」と紹介した『引違い窓のフレームインタイプ』です。標準のタイプと比べていただくと分かると思いますが、上下をフレームインして隠してしまっています。制約というのは、このタイプは障子を内側に外せないということです。つまり、ガラスが割れたり何かしらのメンテナンスが必要になったりした場合、外側から外さないといけないという制約がかかってきます。吸盤などを使えば内側からの作業もできなくはないのですが、住宅用の窓は、内はめ内外しが標準的になっています。

井上:私や知り合いの建築家仲間でしたら確実にこちらを選ぶでしょうね。

石上:なるべくたくさんの方に使って貰うために、1本に絞りきれなかったという面もあります。

井上:たてすべりもフレームが見えない。これを待っていた人は多いでしょうね!
質問にも書かせていただきましたが、四方をフレームインさせたテラスタイプの引違いはないのですか…?

堤:構造的には、できない訳ではないのですが、フロアを上げるか土台を欠くかでやっていただく方法しかありません。私がお付き合いさせていただいている建築家の方は、土台を下げて納めています。今までは100mm下げると土台がなくなってしまうのですが、今回は50mm位になっています。これでも現場の苦労としてはずいぶん楽になったというお話はいただいてはいますが、ここまで隠すのは大変ですね。

井上:床組を根太を使わずに24mmの構造用合板を使って構成することも増えてきていますし、土台や床梁に影響がでますね。

石上:メーカーとしては、なるべくどの窓種でも同じ納まりで、簡単に納められることが重要と考えています。これから、絞り込んだ中で品種やシリーズの展開をしていくつもりですが・・・。今回はスタンダードな商品としての第一弾発売です。なるべく納まりは変えずに、多くの方々に使っていただきたいと考えています。

井上:建築家は『サーモス』というサッシがあるということを知ったら、すっきりしたフレームの美しさを活かすために、おそらくここまで床を上げてきれいに納める工夫をすると思います。でもそれが一般的かと言われると、たぶんそうじゃないのかもしれないですね…。
これは、アングルピースもビス留めじゃないんですか?

石上:はい、違います。

堤:ショートアングルというもので、ちょっとした加工を施しています。一方がこういう矢尻の形をしていて、正面から入れると噛んで抜けなくなります。従来はネジで止めていたのですが、これで基本的には嵌合しているので、あとは通常通り隠し釘か接着で窓額縁を固定していただくということになります。
こちらがFIXですね、左側が『サーモス』、右が現行のFIXです。

井上:FIXにも窓タイプとテラスタイプがありますよね。テラスタイプはかなり下框が大きいと思うのですが。

堤:テラスタイプの場合、お客様からガラス面に掃除機が当たったりお子さんのミニカーが当たったり…といろんなお話があって、従来は立ち上がりを付けていましたが、『ワイドウイン』や『シンプルアート』には立ち上がりを付けていません。いままで当たり前と思われていたことにトライしてみると、意外とその常識があてはまらない場合もあるという発見があり、今回は立ち上がりがないタイプで統一しています。その方がきれいですし、断熱性能も良くなります。

井上:『シンプルアート』が発売されたときに、「デザイン重視で来たな」と思ったのですが、タイプがかなり限定されていましたね。だから、今回新しい商品が出ると聞いたとき、ラインナップがどれくらいあるのか興味がありました。こんなに様々なタイプの窓ががあることにも驚かされました。

堤:シリーズ全体で言うと、最初、ガラス面をできるだけ室内側に持ってくるということにトライしました。陰影を表現するのにガラス面をどれだけ室内側に持っていけるか、加えてガラス面の出幅をなるべく合わせるというトライをしています。

井上:さっき「内付けの納まり」というお話をさせていただきましたが、要するにガラス面をできるだけ引っ込めたいということです。ですから、普通の半外付けでこれだけ引っ込んでいれば充分だと思います。数字で言うと現行のサッシと数ミリの違いかもしれませんが、私にとってはその数ミリが大きな違いなので…。

堤:そう感じていただければ嬉しいです。

井上:今工事中の「法面庭の賃貸住宅」で使うことができれば…。数日前に「デュオPG」を発注しました。今後は「サーモス」を使います!

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