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設計のヒント
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LIXILのディテールvol.6 サッシがつくる新しい開口部のかたち─ 規格品としてのサッシの可能性を探る

  • アルテック 河内 英昭(かわち・ひであき) 1978年 イギリス/ロンドン生まれ。2002年 神奈川大学工学部建築学科 室伏研究室 卒業。2001年 イトーピアホーム株式会社入社。2003年 株式会社アルテック入社。

    アルテック

    河内 英昭(かわち・ひであき)

    1978年 イギリス/ロンドン生まれ。2002年 神奈川大学工学部建築学科 室伏研究室 卒業。2001年 イトーピアホーム株式会社入社。2003年 株式会社アルテック入社。

  • トステム 冨井 智(とみい・さとし) トステム株式会社/住宅サッシ統轄・サッシ商品部

    トステム

    冨井 智(とみい・さとし)

    トステム株式会社/住宅サッシ統轄・サッシ商品部

  • トステム 西口 章正(にしぐち・あきまさ) トステム株式会社/住宅サッシ統轄部・サッシ商品部

    トステム

    西口 章正(にしぐち・あきまさ)

    トステム株式会社/住宅サッシ統轄部・サッシ商品部

河内英昭(株式会社アルテック)
冨井智・西口章正(トステム)

今回の河内氏の疑問・要望

建築設計事務所に入所し5~10年前後の設計者が抱える既製品への疑問や要望を提示してもらい、ショールームで製品に触れながら開発担当者との直接対話を通し、その解決策や展望を語る「LIXILのディテール」。第3回目はRCと木造の混構造による個性的な住宅を多く手がける、ARTEC(アルテック)に入所して8年目になる、河内英昭氏にご登場いただき、サッシをはじめとする開口部製品への要望や疑問について、お話しいただきました。

[Sash-014]「もう少しエッジの効いたサッシが欲しいのですが」

──前回のお話に出てきた「ワイドウィン」や「シンプルアートII」というサッシには、河内さんも大変興味を持たれたようです。実際に製品をご覧になる前に、開口部の主力製品について、それぞれがどのような特長を持った製品なのか、簡単にご説明いただけますか?

西口:まず、ワイドウィンですが、こちらはH=2830mmまで対応可能な大開口サッシです。
FIX窓にスライディング窓を組み合わせた仕様で、FIX部は、室内側からフレームが見えない「フレームレス構造」を採用。今までのサッシにはない室内外の一体感を実現しています。

冨井:室内と室外の一体感を演出するタイプの全開口サッシでは「オープンウィン」というシリーズがあります。障子を袖壁外側に全て納めることができる「オープンウィンスライディング」は、全開時には室内側から障子が見えなくなるため、従来の引き違いサッシと比べると200%の開口スペースを得ることも可能です。

冨井:建築家の方にもよくご採用いただいてますのが、こちらの「シンプルアートII」シリーズです。シンプルな意匠性を追求するため段差や傾斜を無くした「フルフラットフェイス」を採用しています。外観をリズミカルにデザインしたり、風景を切り取るような効果を生み出したり、といった窓の新しいイメージ作りに貢献します。

西口:もう一つご紹介したいのが「大型スクエア窓」という製品です。スクエアのフォルムが外観に印象的なアクセントを生みだし、ピクチャーウィンドウとして室内に風景をとり込むとともに、 “光と風”も同時に取り込むことができる横すべり出し構造になっています。

──「断面をデザインする」という設計手法においては、小口の見せ方が重要になると仰る河内さん。ここでも、もう少しエッジの効いたサッシがないかというご相談です。

冨井:こちらの製品が、先ほどもお話させていただきました「ワイドウィン」という製品です。開口部をシャープなイメージで演出したいというご要望にお応えするために、できるだけエッジを効かせたデザインを採用しています。

河内:かなりH寸法がありますね。

冨井:最大で2,830mmまで対応できます。いわゆるハイサッシと呼ばれるものの中でもかなり大きなもので、床から天井までを開口部にすることが可能です。

河内:サッシがあまり目立たないですね。

冨井:そうなんです。FIX部のフレームを無くしたことが最大のポイントです。

FIX部のフレームが見えないシンプルなスタイル

河内:通常のサッシに比べると、かなり見え方が変わりますね。

冨井:室内側から見た場合に、なるべく余計なものが見えないようなデザインにしています。

河内:なるほど、キレイですね。

西口:クレセントも框の中に内蔵しているので、すっきりとした感じになっています。外からクレセントが見えないので、防犯上の効果もあります。

河内:開口がこれだけ大きいと、断熱性が気になるところですね。

冨井:内外のアルミを樹脂でつないでいる構造なので、断熱性は優れています。

河内:中に樹脂が入っているんですね。

冨井:はい、断面を見ていただくと良く分かるのですが、内側と外側のアルミを樹脂でつないだ構造になっています。さらに、ペアガラスを使うことで高い断熱性を保てる仕組みです。

河内:つまりこっちの室内側のアルミと、こっちの室外側のアルミが絶縁されている、と。

冨井:そうです、絶縁されています。

河内:この障子の框の見付幅は…?

西口:40mmなので、これもこのサイズのものとしてはかなり細い方です。

河内:確かに、シンプルで美しいですね。かなりシャープなイメージに仕上がっていると思います。

冨井:ありがとうございます。

河内:ただ、サッシ全般について一つ気になっていることがありまして。

冨井:なんでしょうか?

河内:ユニバーサルデザインと銘打ったサッシの場合、角のRが他社に比べ大き目に設計されているように感じます。実際に計測したことは無いのですが、見た目の印象としてややシャープさに欠ける場合があります。

西口:そうですね。仰るとおり、ユニバーサルデザインと銘打ったサッシのRについては部分的に他社より大きい箇所があると思います。メーカーとしては安全性や使い勝手の良さを優先とし、デザイン性を犠牲にしている部分はありますね。

安全性に配慮したユニバーサルデザイン

河内:「安全で誰にでも使いやすい」という方向性は、当然正しいと思います。ただ、必ずしもすべてがユニバーサルデザインで統一されている必要はなくて、たとえば人の手の触れないような部分では、シャープなエッジやソリッドな形状といった、プロダクトデザインとしての美しさの追求という部分がもう少しあっても良いような気がします。

西口:それは、先ほどの「開口部の断面をデザインとして取り込んでいきたい」というお話に関わってくるのでしょうか?

河内:そうですね。どうしてもカドをきちんと見せたいという方向になりますので。話は少しずれますが、今回アルテックが手がけた「平和台の家」(写真)は外壁を真壁納まりにし、しかもそこにサッシを採用するというケースでした。そのため、非常に苦労し、サッシを取り付けた上から木を貼るという二次的な方法をとりました。

古民家の落ち着いたたたずまいを見せる内観(平和台の家)

サッシを取り付けた上から木を貼って真壁納まりにした外観(平和台の家)

冨井:これは、新築の物件ですか?

河内:新築ではなく、昔からある古民家を、各部材を解体して再度組み直したんです。こういったケースは極めて稀だと思いますが、この場合も、柱のカドの部分をなんとか見せたいということになりました。

西口:この部分ですね。

河内:そうです。四角い柱の四隅は全部見せつつ、そこにサッシも入れたいという話になり、柱の外側に取り付けることになったのですけれども、外付けといってもここについちゃうので、カドが表現しにくいのが現状です。

エッジへのこだわりがうかがえるサッシ出隅部(平和台の家)

冨井:こういったケースでも、やはり断面の表現やカドの出し方にはこだわりを持って取り組まれている訳ですね。

河内:はい。木造の古民家であっても、そこはチャレンジしたいところですね。ですから、RCの躯体にアルミサッシという組み合わせであれば、なおさらコーナーは気になります。

西口:そのときに、エッジはもう少しシャープであっても、ということですね。

河内:そうです。ユニバーサルデザインの基準は踏襲しつつ…。

冨井:あくまで、人が手を触れないような部分で、ということですね。

河内:難しいのかもしれませんが。

西口:分かりました。今後の課題として、ある程度両立できるような方向を見いだせればと思います。

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